ヴェルデレイスのバー
8時前にヴェルデレイスに帰ってきた。明日の飛行機は8時40分発。オークランドまで車で1時間くらいかかるから5時半にはここを出なくはならない。明日は5時起きだ。
空港までの送迎はマダムの友人に頼んでもらった。空港まで100ドル。これは仕方ないだろう。タクシーならもっとかかるようだ。
部屋に戻って少し荷造りをしてから下に降りる。昨日、マダムがデイビッドにビールを買った時に自分も一本ビールを買ったのだが、栓抜きがない。今日は栓抜きを借りるがてらバーで飲もう。
ベックはドイツのビール。ロンドン在住時に良く飲んだ懐かしのビール。
少し夫婦と談笑していたが、8時半頃デイビッドさんがもう寝ると言って席を離れた。明日の朝は自分にトーストと紅茶を用意してくれるらしい。
いやいや明日は朝も早いしお構いなくと言ったが、彼は毎日このくらいの時間に寝て朝は5時には起きるのが日課らしい。
その後しばしマダムと談笑。今までここで結婚式を上げたカップルのアルバムや、息子さんの結婚式のアルバムも見せてくれた。それが絵に描いたような結婚式で息子さんも相当なイケメンだが、相手の女性もすごい美人。写真もプロが撮っているためかハリウッドスターの結婚式かのようだった。
息子さんはシドニー在住でオーストラリアの軍隊に所属しているらしい。そして娘さんもいて、彼女はドバイでコミュニケーションの仕事をしていると言っていた。
何もかも順調そうで絵に描いたような理想的な家族であるが、ここに至るまでは相当苦労もされている。
マダムは元々はレバノンの出身とのこと。えっ、ではイスラム教徒?と尋ねたがそうではないらしい。れっきとしたキリスト教徒であるが、結局国を追われて兄弟はニュージーランドだけでなく、アメリカやブラジルにまで分散したそうだ。
その結果現在世界中に親戚がいるようだ。自分のマレーシア人やタイ人の架橋の友人たちも世界中に親族が分散しているが、似てるなと思った。
世界中に親戚がいる-それは羨ましい反面、彼らは元々は国を追われて仕方なく他に居住地を探した人達だ。国を出る必要がなかった日本人は幸せだったんだなとも思う。
後、この場での話ではないがマダムに尋ねて印象に残ったことを上げておきたいと思う。ニュージーランドとオーストラリアの両方に精通しているマダムに是非聞きたかった話だ。
ニュージーランドの先住民であるマオリとオーストラリアの先住民であるアボリジニについてどう思うか?
マオリはとても優秀とのこと。問題なく地域社会に溶け込んでいるようだ。
それを聞いてパーネルの教会でステンドグラスで描かれた絵を見た時のことを思い出した。自分の感じた印象は当たっていたようだ。
政府からは様々な優遇措置が与えられていて、彼らはそれをうまく活用しているとのことだ。
一方でアボリジニであるが、彼らについては"uncivilized"「未開の」 と言っていた。うまく文明生活になじんでいないらしい。シドニー在住時にアボリジニの人を雇ったことがあるのだが、2週間ほど経っていなくなった。文字通り消えてしまいその後の消息は分からないままだったそうだ。
また突然彼らが家の中で火をつけて大騒ぎになったことも度々あったそうだ。
こういうのは勿論個人の主観の話であるが、こういう生の声を聞けたのは貴重であった。
猫も眠そう。
そしてこれまでの会計をする。実はこれが少し心配だった。昨日のオークランド・シティのホテルまで迎えに来てくれたお金が40ドル、今日ファンガパラオアを案内してくれたお金が60ドルと言われていたのだが、もともとオークランド・シティからヴェルデレイスまで行っても100ドル以上かかるのである。
チップはいくら差し上げたらいいのだろうか?相場が全く検討つかなかったので20ドル札を5枚用意しておいた。それを全部差し出すがマダムはがんとして受け付けない。では1枚だけでも言ったがこれもがんとして受け付けない。何か申し訳無い気もしたが、こればかりはどうしようもない。
マダムにとっては自分は単なる客の1人のはずだが、家族のように扱ってくれた。マダムの本当の息子さんより自分はかなり年だが、少しは息子のように感じてくれたのかもしれない。ありがたい。
自分の準備不足で一時期はどうなるかと思ったこの旅行だが、最終日は日頃感じることのない不思議な幸せ感で満たされていた。
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